スイスの銀行が安全回帰した理由

米FRB が利上げを見送った理由は、国際通貨基金(IMF)や世界銀行といった機関から利上げ
を先送りするようプレッシャーを受けていたこともあるが、主因はやはり世界のデフレである。
商品価格はいまだに反転の兆しを見せず、各国経済成長率の下方修正も続く。米FRB が世界景気
に配慮を示すならば、利上げの先送りは当然の帰結と言える。また今後も利上げ時期の判断が難
しくなる。それが引き金で株価の急落や債券価格の急落(金利上昇へ)ということになれば、EU
や中国を批判することはできなくなる。「戦犯」はあきらかにアメリカである。
世界経済が停滞する中、早くも将来の金融不安に備えて金融機関の健全化を進めているのがス
イスである。スイスは国を挙げて金融機関をサポートしている。リーマンショック時に2大スイ
ス銀行であるクレディスイスとUBS は、スイス政府の救済を受ける屈辱を味わった。欧米金融機
関のレバレッジ経営に対抗するために、サブプライムローンやヘッジファンド・ビジネス、プラ
イベートエクイティに手を出したのが仇となった。しかし今ではそれらの反省のもとにスイスは
金融機関に対してバーゼルⅢが定める基準を遥かに上回る独自基準を設けている。
例えばリスク資産に対してレバレッジ比率3 %(バーゼル3)のところを6 %に引き上げ、金
融機関に対してはヘッジファンドや投資銀行業務といったリスク事業も切り離しを求めている。
スイスの金融機関の健全化で再び「スイス金融王国の復活」を目指している。
かつて日本円と並んでスイスフランは、「安全資産」と認識されてお金の逃避先とされてきた。
日本円はここ数年の円安ですっかり相場を崩してしまった感があるが、スイスフラン高が継続し
ている背景には、こうしたスイスの国家を上げた取り組みがある。

Trackback URL for this entry