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人民元の国際化はBRICSの共通利益

2011/06/24

世界の基軸通貨である米ドルの地位低下が著しい。この1 年間の為替相場の値動きを見ると、対ブラジルレアルで- 10.5%、対南アフリカランド- 10.6%、対豪ドル- 19.4%と新興国通貨に対して値下がり(米ドル安)している。
そんな中4 月に行われたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)サミットで「密約」が結ばれたと噂になっている。
リーマンショック後の景気刺激策としてアメリカがとった量的緩和政策(QE2)は、米ドルのばら撒きとなって商品市場に資金流入し、食糧価格を押し上げた。それが不当なインフレをもたらし、今も中国人の食卓を苦しめている。
社会不安に繋がり兼ねないインフレは逆に中国政府に決断を迫ることになる。為替政策で人民元を高め誘導すれば輸入物価は安くなり、インフレを緩和することが出来たはず。しかし資本市場が開放されていないので人民元を自由に売買することが出来ない。そこで「敵の敵は味方」という同じ思いを抱くBRICS が結束し、欧米主導の通貨戦略を打ち破ろうという内容の密約が結ばれたというのだ。
彼らは中国人民元だけでなく、インドルピアやブラジルレアルといった自国通貨の地位向上にも関心があるが、まずは目前の敵からという発想であろう。
彼らは以前から国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)を準備通貨としようと歩調を合わせてきたし、アメリカ型資本主義の介入を阻止しようという考えでも共通している。
中国の貿易決済額の7%にあたる3600 億人民元がすでに人民元建てで決済されているが、2013年から2015 年には対新興国の貿易量の50%以上が人民元決済になると言われている。今後10 ~20 年に渡って飛躍的に経済規模が大きくなる国々を今のうちに抑えておこうという戦略である。
米国との直接の対決は避けながらも(NY の中国銀行では人民元業務が一部認められている)、日本やユーロ圏には全く人民元業務には触れさせない方針である。経済大国の『国際通貨』に市場開放寸前まで手を出せないとなると先進各国にとってはかなりの不利益となる。

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