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利下げでも上昇する人民元 2012年06月12日号

2012/06/12

 中国人民銀行(中央銀行)はリーマンショック後の2008 年12 月以来、3 年半ぶりに商業銀行
による貸出基準金利と預金基準金利をそれぞれ0.25 %ずつ下げ、期間1 年物の貸出基準金利は
6.31 %、1 年物の定期預金は3.25 %となった。
 通常、利下げ=通貨安(つまり人民元安)の要因になるが、このところの人民元安は国内の景
気減速とユーロ危機に伴うリスク回避が主因であった。この2 つの要因のうちの前者、景気減速
に歯止めを掛けるべく利下げに踏み切ったことは画期的である。
 中国はインフレが鎮静化に向かい、利下げのみならず20.5 %と高水準にある銀行の預金準備
率の引き下げも可能である。この2 つの金融政策がかみ合えば、景気減速は十二分に食い止める
ことが出来る。つまり中国経済の成長が続く中で、人民元業務が対外的に開放されていく。自ず
と人民元に対する需要は増大する。2 桁は難しいとしても年率7 %程度の成長が実現出来れば、
人民元に対する需要も7 %以上の伸び率で拡大していくだろう。
 市中金利の引き下げと銀行の預金準備率の引き下げ――この二つの引き下げは先進国であれば
通貨安の要因となりかねない。しかし新興国の場合は「高成長」がバックにあるので投資収益の
高さを求めて、資金の流入(つまり通貨高)が起こる。過去3 カ月を振り返ると、人民元は5 月
2 日に対米ドルで6.2783 人民元の高値を付けた。その後は6 月1 日に6.3723 人民元の安値を付
けている。
 当面、利下げによる通貨安懸念にとらわれたマーケット参加者は方向感を失う可能性が高いが、
やがて実需の買いが入ってくるはずである。中国の当局が本気なら投資家も本気になれる。