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当面、株価底打ちも、景気低迷は長期化へ

2015/09/04

中国株安、人民元の切り下げ、そして米利上げに伴う新興国からの資金流出懸念によって世界
の株式市場は急落している。NY ダウが8 月24 日の取引時間中に1 万5370 ドルの年初来安値を
付けた。当面はこのレベルを見据えた神経質な動きとなるが、米FRB(連邦準備制度理事会)か
らは何の発言もなされていない。
IMF(国際通貨基金)は7 月、世界経済の見通しを2015 年3.3 %と、4月時点の予想から0.2
%ポイントほど引き下げている。そしてIMF が「第1四半期の米経済の弱さを踏まえた」として
いるにも関わらず米FRB は、一貫して利上げを主張してきた。この時点で金融政策と実体経済の
間でかい離があったと言わざるを得ないのだ。
商品価格がここまで下落し、日本やヨーロッパが量的緩和(QE)を継続してもまったく無反応
であった。原油価格が1 バレル= 37 ドル台の安値を付けて反発したものの長続きはしなかった。
もちろんこれらは世界に原油に対する需要がないからで、世界景気の減速を織り込み始めていた
からだ。
中国の株安や米利上げ、ひいてはギリシャ問題はあくまで株価急落の引き金になっただけで本
当の問題点は世界景気の後退にあるのだ。そういう意味では2008 年のリーマンショックやユー
ロ圏の財政問題(PIIGS)やギリシャ財政危機とは違う。これらがシステマティックリスクであ
るのに対して、今回の株価急落は世界経済の景気後退という景気循環に基づくものである。
8 月24 日、NY ダウとナスダックの売買高が4 年ぶりに高い水準の139 億株の取引があった。
新興国株の急落を正確に予想していたヘッジファンド・コンサルタントのジュリアン・ブリグデ
ン氏が、「FRB の利上げ先送り見通し」を理由に、弱気派がショート(空売り)ポジションを一
部、手じまいすべき時期と指摘しているので、「ヘッジファンドの恐怖」にさらされる可能性は
小さくなった。
株価は目先は底を打った可能性が高いが、数か月の「賞味期限」、そして世界景気はデフレに
向かっているため、景気回復は容易ではないということも金融当局者は肝に銘じておくべきだろ
う。